ニュースリリース

2013年10月21日 [音楽制作]

歌詞を入力するだけで、歌声と伴奏からなる楽曲を自動作成

「ボカロ曲」の自動作曲技術『VOCALODUCER™』を開発

− 今冬より、SaaS形態でコンテンツプロバイダーに向けて提供開始 −

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 ヤマハ株式会社は、歌詞を入力するだけで、「VOCALOID™」の歌声と伴奏からなる楽曲を自動的に生成する技術『VOCALODUCER™ (ボカロデューサー)』を開発しました。今冬より、本技術を、コンテンツプロバイダーに向けて、SaaS注1形態で提供します。なお、10月23日(水)~25日(金)に幕張メッセで開催される「Web&モバイル マーケティングEXPO 秋」(主催:リードエグジビション ジャパン株式会社)にて、本技術を用いたサンプルウェブアプリケーションを参考出展します。

  • [注1] SaaS(Software as a Service):サービス型ソフトウェア、ネットワークを通じて顧客にアプリケーションソフトの機能を必要に応じて提供する仕組み、および、事業形態そのものを指します。

開発の背景

 「VOCALOID™」は、歌詞とメロディーを入力するだけで楽曲のボーカルパートを制作できる歌声合成技術および、その応用ソフトウェアです。「VOCALOID™」のユーザーが制作した楽曲は、「ボカロ曲」などと呼ばれ、ニコニコ動画やYouTubeなどの動画ポータルサイトで高い人気を誇っています。
 このたび開発した『VOCALODUCER™』は、歌詞を指定するだけで「VOCALOID™」の歌声と伴奏からなる「ボカロ曲」を自動的に生成できる技術です。曲調や歌い方などをあらかじめ用意された選択肢から指定すれば、こだわりの条件を反映した「ボカロ曲」も容易に生成することも可能です。
 当社では、2009年4月より、歌詞とメロディーに関するシーケンスデータをインターネット経由で当社サーバーに送るだけで歌声を生成できるSaaS型のサービス「NetVOCALOID」を提供しています。「NetVOCALOID」は、歌声の合成にのみ対応しており、伴奏やメロディーラインについてはあらかじめコンテンツプロバイダーが用意する必要がありました。SaaS型の『VOCALODUCER™』では、歌詞を指定するだけで、歌声だけでなく伴奏・メロディーラインも含めた「ボカロ曲」そのものを自動的に生成できるようになりました。

技術概要

1. 歌詞を入力するだけで「ボカロ曲」を自動作曲

50文字以内程度の歌詞を指定するだけで、「VOCALOID™」の歌声と伴奏からなる2~8小節程度の楽曲を自動的に生成できます。歌詞の指定は、漢字や数字を交えた一般的な日本語の文章で行えます。また、パラメーターを指定することで、曲調や歌い方などを事前に調整することも可能です。

2. 高品質な楽曲を生成する作曲・伴奏・歌声合成エンジン

メロディーラインの生成には、J-POPの作曲ノウハウをアルゴリズム化した当社独自の技術を使用しています。リズムパターン、音高の変化、コード進行の3種類の「テンプレート」の組み合わせをもとに、自動的に魅力あるメロディーラインを生成します。自動伴奏の生成には、「PORTATONEシリーズ」など、当社製の電子キーボードで定評のあるスタイルエンジンとソフト音源を採用しています。歌声の生成には、最新の「VOCALOID™」エンジンを使用することで、より人間らしい自然な歌声を実現しています。

3. こだわりの作曲条件を簡単に指定可能

『VOCALODUCER™』では、詳細な作曲条件を事前に指定することで、利用者のこだわりを反映した楽曲を生成できます。

メロディーライン(主旋律/ボーカルメロディー)

リズムパターン、音高の変化、コード進行のそれぞれの「テンプレート」を指定するだけで、約1万8千種類の音楽性豊かなメロディーラインを簡単に生成できます。今後、さまざまな「テンプレート」を追加開発するほか、3種類の「テンプレート」の組み合わせをグループ化したものを選択するだけで、ラップ風、ロック風、有名アーティスト風といった好みのメロディーラインを簡単に生成できる機能も提供する予定です。

伴奏

伴奏の曲調は、ポップス、ロック、ダンスなど、現在、約30種類のスタイルの中から簡単に選択できます。今後もさまざまなスタイルを追加する予定です。また、伴奏の再生用の音源は、当社で定評を得ているハイエンドのアレンジャーワークステーションなどで使用されている音源をもとに開発したソフト音源から選択できます。

  • ※ 選択できるスタイルやソフト音源は、本技術を利用して開発されたサービスによって異なります。

歌声

歌声は「VOCALOID™」の豊富な歌声ライブラリから選択できます。男性の声、女性の声、力強い声質、スウィートな声質など、さまざまな特徴を持つ歌声ライブラリから好みの声を選択できます。また、歌い方に関するパラメーター(ジェンダー、ダイナミクス、ピッチなど)も指定できますので、好みにあわせて細かく歌い方を調整できます。

  • ※ 選択できる歌声ライブラリは、本技術を利用して開発されたサービスによって異なります。

楽曲全体

楽曲全体のテンポ(BPM)を事前に指定したり、出来上がった楽曲全体にリバーブやコンプレッサーなどのエフェクトを適用することも可能です。

本技術のSaaS型サービス提供について

 当社は、今冬より、キャンペーンサイトやゲーム、ソーシャルメディア上のコンテンツを開発するコンテンツプロバイダーに向けて、この『VOCALODUCER™』をインターネット経由で利用できるSaaS型のサービスとして提供します。
 SaaS型の『VOCALODUCER™』では、歌詞と作曲用のパラメーターを記述したXMLファイルをインターネット経由で当社サーバーに送信するだけで、歌声と伴奏からなる「ボカロ曲」のオーディオファイルが生成され、ダウンロード用のURLが発行されます。また、高負荷な処理である歌声やオーディオファイルの合成は当社サーバーで行うため、コンテンツプロバイダーは本サービスを低負荷な環境で利用できます。また、本サービスは専用のWeb APIから利用できるため、利用時に複雑なシステムを開発する必要はありません。コンテンツプロバイダーは、スマートフォンやPCをはじめとした、インターネット接続とオーディオ再生ができるあらゆる端末から、より効率的に「ボカロ曲」と連携したコンテンツを開発できます。
 今後は、英語、中国語などへの対応も行う予定です。

システム構成図

システム構成図

主な仕様 ※

入力 歌詞および作曲情報(弊社指定フォーマットのXMLファイル)
出力 オーディオデータ(MP3ファイル)
楽曲バリエーション 以下の組み合わせ
作曲テンプレート リズム×34種類、音高変化×34種類、コード進行×16種類
伴奏スタイル 30種類
歌声 「VOCALOID™」の歌声ライブラリより選択
対応言語 日本語
エフェクト リバーブ、コンプレッサー
API HTTP POST/GET メッセージ
動作環境 インターネットに接続され、HTTPプロトコルで通信可能なサーバー
  • ※ 発表日時点の情報です。今後もテンプレートやスタイル、対応言語の拡充を行う予定です。また、選択できる歌声ライブラリ、スタイルなどは、SaaS型の『VOCALODUCER™』を利用して開発されたコンテンツによって異なります。

Web&モバイル マーケティング EXPO 秋での参考出展について

10月23日(水)~25日(金)に幕張メッセで開催される「Web&モバイル マーケティングEXPO 秋」(主催:リードエグジビション ジャパン株式会社)に、『VOCALODUCER™ 』を用いたサンプルウェブアプリケーションを参考出展します。ブースの詳細は「Web&モバイル マーケティングEXPO 秋」の公式ウェブサイト(http://www.web-mo.jp/ja/aki/)に掲載されています。

*VOCALOID(ボーカロイド)は、当社の登録商標です。

*VOCALODUCER(ボカロデューサー)は、当社の商標です。

*文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。

この件に関するお問い合わせ先

■報道関係の方のお問い合わせ先

ヤマハ株式会社
広報部 広報グループ 新川(あらかわ)
〒108-8568 東京都港区高輪2-17-11
TEL:03-5488-6601
FAX:03-5488-5060

■一般の方のお問い合わせ先

ヤマハ株式会社
VOCALOIDを用いたビジネス 専用窓口
http://business.vocaloid.com/contact/
(お問い合わせはメールでの対応のみとさせていただいております。)

※このニュースリリースに掲載されている製品情報や問い合わせ先などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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